教材の特徴と使い方
1.何を学ぶ?
このサイトでは“日本語の重要な語や文型”を“リズムやアクセントに留意して”学びます。
リズムは日本語を学ぶ皆さんに共通の課題です。日本語には「長音(-)」「促音(っ)」「撥音(ん)」という特殊音がありますが、学習者さんの多くは“かな+特殊音”の長さがよくわかりません。上の例では、東京の「とう」と「きょう」の“かな+長音”がどちらも短くて、意味が伝わりませんでした。
また、アクセントも重要な音声項目です。「東京(とうきょう)」には急に低くなる“下がり目”がありません。もし長さが適切だったとしても、「と˥うきょう」では日本語らしく聞こえませんね。
2.どのように学ぶ?
①ビデオ教材で記憶を促進させて学ぶ
♪Song Video(歌教材ビデオ)とDrill Video(発音ドリルビデオ)の色鮮やかな画面を見ながら、すぐに歌ったりリピートしたりして学びます。
☞ビデオ教材による学習は、視覚・聴覚・運動(歌う、発音する、体を揺らす)など、複数の感覚を刺激します。これらの刺激によって、学習項目の語や文が音声といっしょによく記憶されることがわかっています。
②体系化して学ぶ
♪「リズム型」と「アクセント型」で分類し、記号を使って体系的に学びます。
例)東京「とう・きょう」は22【b】型(*「と˥きょ」は2【a】型)
③視覚化して学ぶ
♪「RD図(リズムダイアグラム)」でリズム型を、「AD図(アクセントダイアグラム)」でリズム型とアクセント型を表示し、それらを見ながら発音練習します。
☞AD図は鹿島 央(かしま たのむ)(名古屋大学名誉教授)が考案した
階段の形をした記号で、語の“長さ”と“高さ”の“並び方の特徴”を同時に表します。
市販のマグネットパネルを使うと便利ですよ。
④連続リピート法で学ぶ
♪同じ語を“等速(同じ速さ)で”“3回続けて”発音練習します。繰り返すことによって、リズム型や“下がり目”の位置が、よりはっきりと意識できます。また、型が同じ他の語へと、どんどん広げて練習できます。
⑤規則性を整理して学ぶ
♪「リズム型」は“かな”から、すぐに何型かわかりますが、「アクセント型」は辞書で調べなければなりません。しかし、動詞の活用形、合成語、助数詞を使った数え方などには様々な規則性があります。それらの規則性を整理して学びます。
⑥自律的に学ぶ
♪やさしい語や文型を使っているので、“だれでも”“いつからでも”始められます。また、スマホでも見られるため、手軽に何度も自習できます。
3.先生方へ
ビデオ教材は1~4分程度と短いため、先生方にもご負担なくお使いいただけます。会話やプレゼンテーションの授業などで、“発音が原因で伝わらない”といった学生の発話がみられた場合、キーワードを取りあげて正誤を表示し、トレーニングしていただくだけでも効果が期待されます。筆者担当の留学生対象の授業でもリズムに関する誤りが多くみられますが、皆楽しんで取り組んでいます。
日本語ボランティアの皆さまにもお勧めいたします。多くの学習者さんは“上手く伝わらない”という不安やもどかしさの中で生活者として暮らしています。いっしょに学んで問題を共有していただけたら、どんなに心強いことでしょう(例:主人12【a】型、*囚人22【b】型)。